素敵に政略結婚♪◆
「奥様。私は時給制なんです。」
「はっ?はぁ・・・?」
急に真剣な顔でリュートがいうものだから、
春乃は戸惑って変な返事になってしまう。
「ですから、今日の残業分は
申請しますから、奥様からも旦那様にしっかりと
伝えておいてくださいね?」
リュートはニヤリと綺麗に口角をあげて笑った。
意味ありげな微笑みに
春乃は恐る恐るリュートを見つめ返す。
「ざ・・残業ですか?」
春乃は首をかしげた。
「はい。
少し、事実確認が必要かと思いますので、
調べてまいります。
--あ。奥様。
旦那様に電話を掛けた時に『浮気相手』が出たんでしたっけ?」
「え?えぇ」
リュートはそうですか~と軽くつぶやいてから、
「ナナさん。書類を」といって、数枚の紙を受け取りながら、
「では、奥様失礼します。」
部屋を後にしようとしたとき、
不意に田代さんがリュートを呼び止めた。
「リュート。待て。
松本!リュートを送って行って手伝え。」
「田代さん…。
松本さん。--助かります。お願いします。」
リュートと松本さんは一緒に屋敷を出て行った。