素敵に政略結婚♪◆
車が目的地に着くころ、リュートの頭はすっかり冷えていて
冷静に分析がすんでいた。
ふぅっと一息ついて
仕事だと言い聞かせて、車から降りる。
松本さんも一緒だ。
Tシャツにジーンズというラフな格好だが問題はないだろう。
まず、
冷静に考えて、あそこまで春乃を大切にすると言い切った建志のことだ。
浮気するなんてありえない。
ーーーたぶん。
でも、建志と春乃を嫉妬して、
嫌がらせの電話をするやつぐらいなら多いだろう。
建志の電話に出れるほど近くにいたやつーーー
といえば、
やっぱり職場のここしかないだろう。
「松本さんは、
4階のナースステーションでさりげなく
建志先生の恋の噂でも聞いてきてくれませんか?
私は、旦那様の携帯電話の確認をしますので。」
院内では通常の携帯電話は使えない。
二人は、待ち合わせを決めてから、二手に分かれた。
「本当に、私たちは主人思いの使用人ですね?」
リュートが無表情で言うものだから、松本さんは声を上げて笑った。