素敵に政略結婚♪◆
「あ。リュートさん。建志先生なら今オペ中ですよ?」
奥の机に座った医師から声がかかる。
「ありがとうございます。ただ、仕事の確認ですので…」
広めの部屋にいくつかの机が並べられている。
その右の奥が建志の机。
建志はこういうトコは律儀だよな。
経営者の息子なんだから
個室とかもっと立派な部屋を割り当ててもらえばいいのに。
リュートは思うが、
あくまで建志は、みんなと同じように。というスタンスだ。
だから、建志も普通にやっと研修医を卒業した
ぴちぴちの新人医師扱いにしてもらっている。
会社運営にも携わってるから普通の医師たちよりも
患者数や時間数をかなり融通してもらってるが…
まぁ、俺が同僚なら『経営者の御曹司』と一緒って
かなり嫌だけどな。
ソレを感じさせないのが
建志の良さだろう。
「あいつ、外面はマジでいいからな。」
リュートはつぶやきながら建志の机の前に立つ。
いくつかの書類が目に入るが
なんの問題のないものだ。
無造作に、携帯電話も机の端に置かれている。
「・・・・・無防備すぎるな。」
病院内は支給されている医療用の電話を持っているが、
プライベート用の電話は
適当に放置されていた。
建志は意外とそーゆートコ適当だよな。
手に取ってボタンを押してみる。
「----はぁ。ロックもかかってない。」