胸キュン

「湊！お願い！」


「へ？」


「足が速くなる方法教えて！お願いします！」


「足が速くなる方法？」


「私のせいで負けたら…皆に迷惑かかるから…。少しでも速く走りたい」


「…知花、あのさぁ…リレーって知花一人がする競技じゃねぇよ？」


「知ってるよ！だから皆に迷惑かけないようにしないと…」


「知花、違う！団体競技なんだから自分だけが責任感じる競技じゃない！迷惑とか考えなくていいんだ。たとえ足が遅くても皆で走る事に意味があるんだ！」


「…団体競技…」


「迷惑とか考える前に絶対勝てると思え！自分のせいで負けるとか思わないで自分のおかげで勝てるって思え！」


「それって凄い自信家だね…」


「お前は相手の事を考えすぎ。お前一人じゃねぇんだから、少し肩の力を抜け。」



また言われたなぁ…。



自分より相手って。



いつの間にか…私って相手の事しか考えないようになってる。



いい子ぶってるよね。



たまには自分の事だけ考えなくちゃ！



「そだね。力み過ぎてたのかも。ありがとう。」


「いーえ。まぁ知花の長所だけどな。自分より相手を考える所は。」


「ならさ…」


「ん？」


「責任とか無視で…ただ速く走りたいから…コツとか教えてくれないかな？」



相手の為じゃない。



ただ…自分が優勝したいから。



「よし！一緒に練習しよーな！」


「ありがと！」



湊に言われて…少しプレッシャーが失くなった。