星のカケラ



私は少しムッとし、赤谷くんから顔を背けた。
それに、気づいたのか、私の顔に赤谷くんが近づいてきた。



「窓に何かあんの?」


「は?…別に」



別に窓に何かあるわけでもないし、何か理由があって窓の方に顔を向けたのではない。ただ、ムカついたのだ。意識してるのは自分だけではないのかと。

まあでも、例え私が赤谷くんの事を意識しようと、好きになるとは限らないけど。




「片瀬」


私は急に真面目な声を出されたから驚いて、ビクッと肩を震わせ、後ろを振り返った。赤谷くんは唇をピクピクと動かせ、何かを言うのを躊躇っている。



「あの、」



唾を飲み込む音が自分の耳に届くのが分かる。他人の唾を飲み込む音って聞こえるんだ、と別に感心する必要のない所で感心している自分が居るのに驚いた。








「……外もう暗いし、帰ろ」




肩がスッと軽くなるのを感じた。

急に真剣な顔で真面目な声を出されたから、何か言われるのではないかと、心が構えてしまったが、普通のことだったので安心した。



何に対して安心しているか分からなかったが。














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