恋のレシピの作り方
「あの日、ダブルブッキングで予約が入ってた団体、フレンチ料理の評論家の会食だったんだ」

「え?!」

 団体が入っていたのは知っていたが、それは初耳だった。聞くとかなり有名な辛口評論家も来ていたらい。

「俺はあの野菜スープを味見した時、なにもわかっちゃいないくせに文句だけは一人前なあいつらに、お前のスープをサーブしてやろうと思った」

「え……?」

「それに、あいつらなら……お前のスープをどう評価するか興味があった」

 あいつら……というのは、評論家たちのことだろう。

 奈央は、次に何を言われるのだろうか、と心臓が破裂しそうなほど緊張していた。
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