恋のレシピの作り方
「あの野菜スープはお前のオリジナル?」

「は、はい……ベースは亡くなった母に教わったものなんですけど、それをちょっとアレンジしたものです」

 奈央の母親は、奈央が専門学校生だった時に他界し、また母も紅一点の料理人だったため、奈央に対して絶大な影響力をもたらしていた。


「私が料理を本格的に極めようって思ったのも、母がきっかけなんです」

「お前の母親はさぞかし腕利きの料理人だったんだろうな」

 一条の声が柔らかく穏やかなものになる。

 奈央は、そんな母の背中を追いかけながら、ここまでやって来た事を思い出し、思わず熱いものがこみ上げてきた。
< 121 / 457 >

この作品をシェア

pagetop