恋のレシピの作り方
第十一章 唇の微熱
『仕事お疲れ様! 俺はまだ残業中(涙)』


 一緒に食事をしたあたりから、桐野からよくメールがくるようになった。

 正直なところ、メールは必要事項のみで奈央にとって世間話メールは苦手だった。

(そういえば、モテる女子はメールも上手……なんだっけ?)

 雑誌で読んだモテる女子の秘訣をふと、思い出した。

(私には無理だなぁ……モテない理由は他にもありそうだし)

 奈央は桐野の返事を考えている間に職場に着いてしまい、仕方なく編集中のメールを削除して携帯を鞄にしまった。
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