恋のレシピの作り方
「まったく……」

 羽村は眼鏡を外し、親指と人差し指で目頭を押さえると、もう一度眼鏡をかけて気まずそうに力なく笑った。


「あの、どうしたんですか? 羽村さんってフランス語、話せるんですね」

「えぇ、パリに留学していたことがあるので……司は感情的になると、すぐフランス語になるんですよ」

(そういえば、羽村さんと一条さんって言い合いしてる時はなぜかフランス語だよね)

 奈央はそう思いながら、机の上に散らばっている書類を見た。
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