恋のレシピの作り方
(スープの時みたいになりませんように……)
レシピに目を通している一条には相変わらず見惚れる。けれど前回のスープのトラウマが一瞬蘇って気持ちが重くなっていく。
(余計なこと考えない……)
奈央は不安な面持ちを隠すように毅然と振舞うことに努めた。
一条は時折、何かを考えているのか手を止めてポワレを正視したり、首をひねったりしていた。奈央はそんな姿を傍らで見守っていた。
―――その時。
「このラタトュイユにはイマイチ歯ごたえがない、水っぽすぎるな」
しばらくすると、一条がカトラリーを置いて言った。
「え……?」
「でも、味は悪くない……だけど、もう一歩だ、俺から一つアイディアを提案しようか迷ったが……言うのやめた」
一条はフキンで口を拭うと、もう一度レシピに目を通した。
レシピに目を通している一条には相変わらず見惚れる。けれど前回のスープのトラウマが一瞬蘇って気持ちが重くなっていく。
(余計なこと考えない……)
奈央は不安な面持ちを隠すように毅然と振舞うことに努めた。
一条は時折、何かを考えているのか手を止めてポワレを正視したり、首をひねったりしていた。奈央はそんな姿を傍らで見守っていた。
―――その時。
「このラタトュイユにはイマイチ歯ごたえがない、水っぽすぎるな」
しばらくすると、一条がカトラリーを置いて言った。
「え……?」
「でも、味は悪くない……だけど、もう一歩だ、俺から一つアイディアを提案しようか迷ったが……言うのやめた」
一条はフキンで口を拭うと、もう一度レシピに目を通した。