恋のレシピの作り方
「何見てんだ?」


「み、みみみ見てませんッ」


 挙動不審な奈央を見て、一条は面白そうに鼻で笑うと奈央の傍に来るなり頬に口づけた。ほのかに香るシャンプーとデオドラントの匂いが、爽やかに奈央の鼻腔をくすぐる。

「い、一条さん……?!」


「tu vas etre en retard 」
<遅刻するぞ>


「な、ななななんでキスなんて―――」

 奈央は口づけられた部分に触れると、昨夜の光景がフラッシュバックする。

 そういえば昨日も―――。

 恥ずかしさついでに奈央は、なぜ自分がここいて朝から一条と一緒にいるのか思い出してきた。

(そうだ、私……終電なくして―――)




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