恋のレシピの作り方
「ったく、こんなの挨拶だろ? お前は、挨拶をしないのか?」
いつの間にか冷蔵庫から水を取り出してきた一条が、ぐびぐびと喉を鳴らしてペットボトルごと煽っている。
「日本人ですから!! いきなりキスされて挨拶って言われても……」
(それに、あの日の夜のキスだって―――)
あの時は自分も感情的になっていた。だから一条に口づけられても突き放すことはできなかった。
なぜ口づけしたのか―――。
未だに吐き出せない問いが、蟠りとなって胸に使えている。
「こういうこと、困るんです……」
奈央はムキになって反論した。何をこんなにムキになっているのだろうと、もう一人の冷静な自分が窘める。
一条はただ、ふーんと素っ気なく返すと中身を飲み干したペットボトルをゴミ箱に捨てた。
「シャワー使えば? 俺は朝フルーツしか食わないけど、それでよければ冷蔵庫からどうぞ」
「……ありがとうございます」
「今日は朝から会議なんだ、午前中は厨房空けるけど羽村もいるし何かあったら電話しろ」
「oui シェフ」
それだけ言うと一条は自室に消えていった―――。
いつの間にか冷蔵庫から水を取り出してきた一条が、ぐびぐびと喉を鳴らしてペットボトルごと煽っている。
「日本人ですから!! いきなりキスされて挨拶って言われても……」
(それに、あの日の夜のキスだって―――)
あの時は自分も感情的になっていた。だから一条に口づけられても突き放すことはできなかった。
なぜ口づけしたのか―――。
未だに吐き出せない問いが、蟠りとなって胸に使えている。
「こういうこと、困るんです……」
奈央はムキになって反論した。何をこんなにムキになっているのだろうと、もう一人の冷静な自分が窘める。
一条はただ、ふーんと素っ気なく返すと中身を飲み干したペットボトルをゴミ箱に捨てた。
「シャワー使えば? 俺は朝フルーツしか食わないけど、それでよければ冷蔵庫からどうぞ」
「……ありがとうございます」
「今日は朝から会議なんだ、午前中は厨房空けるけど羽村もいるし何かあったら電話しろ」
「oui シェフ」
それだけ言うと一条は自室に消えていった―――。