恋のレシピの作り方
 ――午後。 

 記者と打ち合わせの時間が刻々と近づく度に、奈央は憂鬱な気分になっていった。しつこいくらいに昨日の光景が脳裏の中で反芻している。


(顔合わせなんかしたくない……でも、アルページュを宣伝するにはチャンス)


 アルページュと自分が従えている人のために、身を削る事も惜しんじゃいけない。


 奈央はそう自分に言い聞かせ、記者の待つ部屋に向かった。
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