恋のレシピの作り方
「あぁ、それでスープをお前に任せようと思う」

「わかりました」

 この店に来てから初めて仕事らしい仕事を任せられ、奈央は内心小躍りして舞い上がった。

 だけど、それを表に出さずにテキパキと特筆事項をメモする。


(ベジタリアンってことは一切肉系はダメってことだよね、どんなスープレシピがあるか考えてみよう)

「婦人とは俺とフランスつながりで、なにかと贔屓にしてもらってる客だから、くれぐれも失敗すんなよ」

「はい」

 一条がいなくなってから、奈央は自分の顔がにやけていないか鏡を見た。

(一条さんの顧客に出す料理を任されるなんて! 信じられないけど、頑張らなきゃ)
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