恋のレシピの作り方
第三章 邂逅
 今日も仕事をそつなくこなし、私服に着替え終わって帰宅しようと、ホテルのロビーまで降りてきた時だった。

「パパー! 待ってぇ!」

「香織、走ると転ぶよ」

 奈央はたとえシェフコートを脱いで、私服だったとしても、このホテルの従業員らしく、親子連れの客に敬意をはらってエレベーターを押さえていた。

「桐野……君?」
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