恋のレシピの作り方
「ここのイタリアン、この前雑誌に載っててさ、いつか奈央と来てみたいって思ってたんだ」


「え? 私と? 奥さんじゃないの?」

 そう言うと、桐野は少し声のトーンを落として言った。


「二人でいる時くらい、独身気分にさせてよ、そうだ、これからちょっとゆっくり飲みに行かない?」


 桐野は子煩悩のくせに、所帯じみてない。だから奈央もつい錯覚してしまう。
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