恋のレシピの作り方
 桐野に連れて来られたところは、静かな雰囲気のバーだった。

 前に一条に連れてきてもらったバーよりカジュアルな感じだ。


「桐野君ってバーで飲むの? 居酒屋ってイメージだけど」


 付き合っている時に、何度か居酒屋で飲むこともあったが、バーに行った記憶はない。


「ほらさ、大人になると、ちょっといいところで静かに飲みたくなるんだよ」


 桐野は笑って、奈央をカウンター席にエスコートする。


 奈央は先ほどのイタリアンの店で飲んだワインの酔いを軽く醒ましたくて、柑橘系のソフトドリンクを注文した。
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