恋のレシピの作り方
第十八章 劣情の雨
 会計を済ませ、バーを出ると、街のネオンにうっすらと目眩を感じた。この街は、眠る事を知らない。

 ほろ酔いの肌に夜風が心地よく、煌びやかなネオンが酩酊を誘う―――。


「あっ!」

 油断をしているとピンヒールが引っかかって奈央がよろめいた瞬間―――。


「おっと、大丈夫?」

「ご、ごめんね……ありがとう」

 さっと出された桐野の腕に抱きとめられるような形になって、反射的に奈央はその腕を掴んでいた。
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