恋のレシピの作り方
 けれど、昨夜の記憶が曖昧だ。

 酒に酔って記憶を失くすほど飲んではないはずだ。それにこの年になってそんな無体な飲み方はしない。

 奈央は起き上がるのを諦めて、おとなしくベッドに横になった。


「ふ……お前、熱が出るほどよかったのか?」


 唇の端を釣り上げて揶揄するように一条は奈央の耳元で囁いた。


「え……? よ、よかった……って?」
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