恋のレシピの作り方
 ―――夕暮れ時。


 オレンジ色の光が差し込んで、奈央は目を覚ました。


「ん……」


 さっきまで、朝だと思っていたのにいつの間にか寝てしまい、そして気がついたら夕方になっていた。

(ここは……そうだ、一条さんの部屋)


 薬が効いたのか、おもだるい倦怠感も身体から抜けて、頭痛もなくなった。奈央はテーブルの上のミネラルウォーターを失敬し、ゴクリと飲み干す。

 一気に空になったペットボトルを見て、自分がひどく渇水していたことに気づく。


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