恋のレシピの作り方
(やっぱりやるからには、自分の上司に認めてもらえるようにやらないと)

 けれど、雑念のように脳裏に蘇るのは、桐野守の事だった。

 今も好きか? と聞かれれば違うと答えるだろう。

 けれど、奈央の中に表現し難いわだかまりが残っていた。

(結婚……か、でも家庭を持つことだけが幸せじゃない……うん)

 奈央は自分に言い聞かせるように自身を宥めたが、結局その日、日付が変わってもなかなか寝付かなかった。

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