恋のレシピの作り方
「私、帰ります……」


 奈央は身支度を整えると、逃げるように部屋を出ていこうとした。


「ねぇ、司のこと、何も知らないくせに土足で心の中に入り込むような真似しないでね?」

 奈央の背中に麗華の冷たい言葉が突き刺さる。それでも奈央は表情を変えずに毅然と振舞う。

「……しません、そんなこと」


 奈央は麗華に悟られないように唇を噛んで、部屋を飛び出した―――。
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