恋のレシピの作り方
 相変わらずにべもないぶっきらぼうな一条の声、けれど今はそんな声さえも―――。


『お前、今どこにいる?』


「家です、すみません、勝手に帰宅してしまって……一応メモを、机の上に残しておいたんですけど」


『メモ? そんなもんなかったけど? まぁ、いいや、俺も今出先だし―――』

 
 ―――つーかーさー、早く~!


(え……? 今の声……)


 電話口の向こうから雑音とともに、聞き覚えのある声が聞こえた。


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