恋のレシピの作り方
「調査報告書……ね」


 机の上に無造作に置かれた書類に、一条は汚らわしいものでも見るような眼差しを向けている。


「えぇ、ここ一ヶ月通して調べてみたんですが、うちで考案したレシピがヴェルデに流れている事は、間違いないでしょうね」

 書類の一部を手に取りながら、羽村が眼鏡のフレームを指で軽く支えて言った。


 フレンチレストラン「ヴェルデ」は、アルページュと並ぶ強豪店でもあり、アルページュに引けを取らない大きさの規模の店だった。そして、創作料理のアレンジでは定評のある有名な店で、自ずとお互いに意識し合っていた。
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