恋のレシピの作り方
 ―――こういう気分の時の煙草はまずい……。


 自室のテラスで、オレンジに染まりかけた空を仰ぎ、細く紫煙を吐き出す。
こんなに気持ちが乱れている時でも、穏やかに時が過ぎて行くのを感じていた。

 羽村の言いたいことはわかっていた。そして、一条の身の回りで不穏な動きがあることにも気がついていた。


「清家悟……か」
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