恋のレシピの作り方
「あー! 生田君、違う違う!」


「す、すみません」


 その頃、奈央はディナータイムの仕込みに忙しなく追われていた。

 昼過ぎから奈央は一条の姿を見かけていない。一条のいない厨房で、奈央は生田に指示を出しながら滴りそうな汗を拭った。

「はぁ……何度注意されても、つい同じことしちゃうんです。すみません」


 生田は伏し目がちに顔を伏せながら、何度もため息をついた。
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