恋のレシピの作り方
運転手は行き先を予めわかっているかのようで、会釈をするとハンドルを握って車を滑らせた。
「そんなに遠くには行きませんから、安心してください。そして帰りの際もお送りしますので」
「は…い、すみません」
「いえ、お誘いしたのは私ですから、そのくらいエスコートさせてください」
それだけ言うと、羽村は肘掛けに肘をもたせかけて、白い指に軽く顎を乗せると、窓の外をぼんやり眺め始めた。
(案外無口な人なんだな……)
毎日のように、一条と言い合ったりしているとは思えないほど、本来の羽村は寡黙な雰囲気の持ち主なのかもしれない。言い換えると、それだけ一条の前では感情的になれる仲なのだろう。
奈央はこれからどこに向かうのか不安な気持ちを紛らわすように、流れる夜景を眺めた―――。
「そんなに遠くには行きませんから、安心してください。そして帰りの際もお送りしますので」
「は…い、すみません」
「いえ、お誘いしたのは私ですから、そのくらいエスコートさせてください」
それだけ言うと、羽村は肘掛けに肘をもたせかけて、白い指に軽く顎を乗せると、窓の外をぼんやり眺め始めた。
(案外無口な人なんだな……)
毎日のように、一条と言い合ったりしているとは思えないほど、本来の羽村は寡黙な雰囲気の持ち主なのかもしれない。言い換えると、それだけ一条の前では感情的になれる仲なのだろう。
奈央はこれからどこに向かうのか不安な気持ちを紛らわすように、流れる夜景を眺めた―――。