恋のレシピの作り方
「……」


「どうしたの? 心ここにあらずって感じね」


 冷めた目でそろそろと動く麗華の指先を見下ろしていると、一条はふと思った。

 ―――まるで蛇みたいだ。


「司? 私はいつでもあなたの傍にいる、どんな時だって、慰めてあげる。それができる女は私しかいない、そうでしょ?」


「……」


「だから……そんな顔しないで」


 麗華は自分のブラウスのボタンに手を掛けて、ゆっくり一つずつ外し始めた。
白い肌に鮮やかな下着の色が浮かび上がり、谷間が覗きだす。一条の視線は麗華の胸元に向けられていたが、そんな誘惑にも一切関心のない様子で、ただ無心で正視しているだけだった。
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