恋のレシピの作り方
 一条は、お前の実力を見せてみろ、と言わんばかりに奈央を見据えた。

「いい目だ」

 そんな一条に、奈央は負けじと挑戦的に一条の目線を受け止めると、一条の口元が小さく歪んだ気がした。


「羽村さん、大丈夫です。私が任されているメニューはレシピがなくてもいいくらい頭にはいってるんで、やらせてください」

「あなたがそういうなら……でも、困ったことがあったらすぐに言ってください」

 もしかしたら、一条に少しは認めてもらえるチャンスなのでは……? と、奈央は密かに下心が疼いた。

(大丈夫、きっと私が、いい方向へ導いてみせる)
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