恋のレシピの作り方
 厨房で、奈央が調理の準備に取りかかっていると、背後から誰かの気配を感じて振り向くと、一条が腕を組んで奈央を見下ろしていた。

「一条さん……?」

「俺は隣りの厨房にいるから、万が一、何かあったら言ってくれ」

「はい、わかりました」

 あんなことを言いながらも、一応心配してくれているのかと思うと、奈央は少し嬉しくなった。

(いつもの私なら、余計な心配しないで、とか思いそうなのに、嬉しいなんて……きっとどうかしてる)


 その時―――。
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