恋のレシピの作り方
「Bon courage」<頑張れよ>
「!?」
一条が腰を曲げて屈んだかと思うと、奈央の耳元で小さくそう囁いた。
吐息が今にもかかりそうな近距離に、奈央の肩がビクリと跳ねる。その時、ほんのうっすらとコロンの匂いが奈央の鼻腔を掠めた。
近づかなければ気づかない一条の匂いに、気づいてしまった―――。
香りに煽られているのか、心臓の鼓動がやけにうるさい。今にも一条に聞かれてしまいそうなほどに脈打っている。
「ふ……ん、面白いやつ」
そう言うと、硬直したまま動けないでいる奈央を残して、隣の厨房へ姿を消した。
(一条さんなんて嫌い! キザだし! 性格悪いし! 俺様だし!)
内心悪態つきながらも、アルページュを支え、自ら経験した全ての事を、一条の下で役立てたいという奈央の決心は揺らぐことはなかった。
「!?」
一条が腰を曲げて屈んだかと思うと、奈央の耳元で小さくそう囁いた。
吐息が今にもかかりそうな近距離に、奈央の肩がビクリと跳ねる。その時、ほんのうっすらとコロンの匂いが奈央の鼻腔を掠めた。
近づかなければ気づかない一条の匂いに、気づいてしまった―――。
香りに煽られているのか、心臓の鼓動がやけにうるさい。今にも一条に聞かれてしまいそうなほどに脈打っている。
「ふ……ん、面白いやつ」
そう言うと、硬直したまま動けないでいる奈央を残して、隣の厨房へ姿を消した。
(一条さんなんて嫌い! キザだし! 性格悪いし! 俺様だし!)
内心悪態つきながらも、アルページュを支え、自ら経験した全ての事を、一条の下で役立てたいという奈央の決心は揺らぐことはなかった。