恋のレシピの作り方
 ―――ローザンホテルの総支配人室。


「司、私の……話の要は理解してくれたか?」


「俺はもう、このホテルの宣伝役にはうんざりなんだよ!」

 殺伐とした雰囲気が漂う中、一条は実の兄であるローザンの総支配人と話し込んでいた。


「俺がここまで、やってこれたのは……兄貴のおかげだってわかってる……けど―――」


「司……わかってくれ」


「悪い、ちょっと、頭冷やしてくる」

 一条が素早く踵を返すと乱暴にドアを開いた。


「おい、まだ話しは終わってないぞ! 司!」


 一条は背中に怒鳴り声を受けながら、その足を止める事なく部屋を出て行った。
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