恋のレシピの作り方
「先に世の中に出したもん勝ちなんだよ、俺がたまたま遅れをとっただけだ」
ポツリと独り言のように一条が呟いた。その呟きがどことなく自嘲めいていて、やるせなさに拍車をかける。
「そんな……」
きっと考案中に誰かに盗作され、ヴェルテに流れてしまったのだろう。
奈央はこれ以上、一条の顔を見ていることができずに目を逸したその時だった。
ビリッ―――。
(え……?)
突然、紙が破ける鋭い音がして、咄嗟に奈央は一条に目線を戻した。
「い、一条さん!? 何を―――」
見ると一条は、手にしていたレシピを全て細かく破いて、屋上からばらまいていた。その手元から風が全てを奪っていく―――。
ポツリと独り言のように一条が呟いた。その呟きがどことなく自嘲めいていて、やるせなさに拍車をかける。
「そんな……」
きっと考案中に誰かに盗作され、ヴェルテに流れてしまったのだろう。
奈央はこれ以上、一条の顔を見ていることができずに目を逸したその時だった。
ビリッ―――。
(え……?)
突然、紙が破ける鋭い音がして、咄嗟に奈央は一条に目線を戻した。
「い、一条さん!? 何を―――」
見ると一条は、手にしていたレシピを全て細かく破いて、屋上からばらまいていた。その手元から風が全てを奪っていく―――。