恋のレシピの作り方

「平日の夜だし、今日は暇でさ……君は、今日仕事休みだったの？」


「はい、土日休みじゃないんで、誰かと休みが合うわけでもないし、休みって言っても時間を持て余してしまって……」

「え……？　彼氏とかいないの？」

　グラスを拭く北川の手がピタリと止まる。

「い、いません……その、今は仕事が忙しいので……」

　北川の質問に赤面しながら言うと、北川はニヤリと口を歪めた。　


「それって、なにげに俺を誘ってるのかな？」



「い、いいえ！　そういうわけじゃ……」



　真に受けて冗談を受け流せずに狼狽える奈央をみて、北川はクスクスと笑い出した。