恋のレシピの作り方
奈央はアルページュの従業員専用出入口を鍵で開けて、事務所に向かって小走りで向かっていた―――。
薄暗い廊下は自分の職場であっても薄気味悪い。廊下の角を曲がると、締めそこねた事務所のドアの隙間から灯りが見えた。
(こんな時間に……誰かいるの?)
この時間だと一条かもしくは羽村かのどちらかが居残って仕事をしている可能性が高い、奈央は安堵してドアノブに手をかけようと、伸ばしかけた手を止めた。けれど、視線の先に背を向けて立っていた意外な人物に、奈央は小さく息を呑んだ。
(い、生田……君?)
パソコンに向かってキーボードを叩いている。生田は奈央の足音にさえ気づかないほど、無心にその作業に没頭していた。
「春日さん……ごめん、こんなこと言っても……あなたはもう、許してはくれないでしょうね」
「ッ!?」
その時、生田が独りごとでポツリとパソコンの画面を呆然と見つめながら呟いた。
(気づかれた……わけじゃないよね?)
一瞬、自分がここで固唾を呑んで様子を窺っていることがバレてしまったのかと思い、心臓が縮み上がった。
薄暗い廊下は自分の職場であっても薄気味悪い。廊下の角を曲がると、締めそこねた事務所のドアの隙間から灯りが見えた。
(こんな時間に……誰かいるの?)
この時間だと一条かもしくは羽村かのどちらかが居残って仕事をしている可能性が高い、奈央は安堵してドアノブに手をかけようと、伸ばしかけた手を止めた。けれど、視線の先に背を向けて立っていた意外な人物に、奈央は小さく息を呑んだ。
(い、生田……君?)
パソコンに向かってキーボードを叩いている。生田は奈央の足音にさえ気づかないほど、無心にその作業に没頭していた。
「春日さん……ごめん、こんなこと言っても……あなたはもう、許してはくれないでしょうね」
「ッ!?」
その時、生田が独りごとでポツリとパソコンの画面を呆然と見つめながら呟いた。
(気づかれた……わけじゃないよね?)
一瞬、自分がここで固唾を呑んで様子を窺っていることがバレてしまったのかと思い、心臓が縮み上がった。