恋のレシピの作り方
第二十七章 口づけの陶酔
 高速道路を下りると、目の前に広がっていた夜景が消え、街の灯りがまばらになり、そして真っ暗になってしまったが、遠くで夜標のように点滅している小さな灯りが見えた。


(海……?)


 車は、埠頭に入り車を停車させると、一気に静寂が車内に訪れた。


「あ、あの……車から降りてもいいですか? 夜の海ってなんだか素敵ですよね」

 沈黙の居心地の悪さと気まずさに、奈央は息が詰まる前に口を開いた。
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