恋のレシピの作り方
「すみません、春日さん、任せっきりにしてしまって……」
「あ、羽村さん」
書類のようなものを抱えながら羽村が厨房に戻ってきた。
汗にまみれているところはなるべく男の人には見られたくない。奈央はこめかみから一筋流れる汗を慌てて拭った。
「生田君はどこにいるか、ご存知ですか?」
「それが、生田君さっきから姿が見えなくて……休憩でしょうか?」
奈央がそう言うと、羽村は無言で眼鏡のフレームを指で少し押し上げると、切れ長の目が光った。
「……ん? どうやら戻ってきたみたいですね」
その時、二人が噂をしている傍から生田が厨房に戻ってきた。が、その足取りはどことなくおぼつかない。
「あ、生田君! どこに行ってたの? もう、さっきから探してたんだから」
「すみません、ちょっと気分が悪くなって……休んでました」
確かに顔色は優れないようだ。青白い顔で生田が苦笑うと、奈央は責めるような言い方をしてしまったことを反省した。
「そうだったの? 大丈夫?」
「はい、ご迷惑お掛けしました。もう大丈夫なんで……」
生田は目を泳がせながらその場を後にした。まるで、見透かすような羽村の視線から逃れるように――――。
羽村はそんな生田の背中を無言で見つめていた。
「あ、羽村さん」
書類のようなものを抱えながら羽村が厨房に戻ってきた。
汗にまみれているところはなるべく男の人には見られたくない。奈央はこめかみから一筋流れる汗を慌てて拭った。
「生田君はどこにいるか、ご存知ですか?」
「それが、生田君さっきから姿が見えなくて……休憩でしょうか?」
奈央がそう言うと、羽村は無言で眼鏡のフレームを指で少し押し上げると、切れ長の目が光った。
「……ん? どうやら戻ってきたみたいですね」
その時、二人が噂をしている傍から生田が厨房に戻ってきた。が、その足取りはどことなくおぼつかない。
「あ、生田君! どこに行ってたの? もう、さっきから探してたんだから」
「すみません、ちょっと気分が悪くなって……休んでました」
確かに顔色は優れないようだ。青白い顔で生田が苦笑うと、奈央は責めるような言い方をしてしまったことを反省した。
「そうだったの? 大丈夫?」
「はい、ご迷惑お掛けしました。もう大丈夫なんで……」
生田は目を泳がせながらその場を後にした。まるで、見透かすような羽村の視線から逃れるように――――。
羽村はそんな生田の背中を無言で見つめていた。