恋のレシピの作り方
 奈央は化粧もほとんどしていない顔に冷水を浴びせた。

(羽村さん……人を疑うことが仕事って、何が言いたかったんだろう……?)

 誰もいないレストルームで、鬱積したモヤを洗い流すように何度も顔を洗った。顔全体の皮膚が、みるみるうちに潤いを増して、顳かみから雫が顎に滴る。


 ―――その時。



 顔をタオルで拭うと、背後でドアが開く音がして奈央は振り返った。
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