恋のレシピの作り方
「相変わらず質素ね、あなた」


「……どういう意味ですか?」

 唐突にわきまえのないことを言われ、咄嗟に奈央は苛立ちを押さえた。


「華がないっていうか……まぁ、でも、あなたの性格には似合ってるんじゃない?」


 ―――これ以上、麗華の言葉に反応してはいけない。

 脳から冷静な指令が下ると、奈央は平常心を保ちつつ話題を切り替えた。


「あの、お伺いしたいことがあるんですけど」


「なに?」

 麗華は奈央の顔など見ずに、鏡を見ながら化粧を直している。そんな不遜な態度に奈央は拳を握りしめて言った。


「先日、田川出版が新しく発刊した雑誌に、ヴェルテの事が取り上げられてたんですけど、あれは麗華さんが取材したものですか?」



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