恋のレシピの作り方
「そうだけど? よくできてるでしょ? あなたも読んでくれたのね?」
麗華は自分が編集した記事のことを話題に出されると、急に上機嫌になって奈央に向き直った。
「職業柄っていうんでしょうか、お料理の雑誌はなんでも読んでみたいんです、だからこの前買った雑誌を見てちょっとびっくりしたことがあって……」
「びっくりしたこと……?」
「麗華さんに会ったら、ちょっと聞きたいって思ってたんです。あの、ヴェルテのメニューって、全部うちのものに似てませんか?」
奈央が言葉を濁さずにはっきり言うと、麗華の余裕の笑みはすっかり消え、徐々に険しいものになっていった。
「あなた、人にものを言う時には気をつけなさいよ? 一体何が言いたいのかしら?」
微かな動揺を誤魔化すように、麗華は化粧ポーチから香水を取り出すと、首元に吹きかけた。
その時、噎せるようなその匂いが奈央の記憶を揺さぶった。
(この匂い……!)
―――先程、生田が厨房に戻ってきた時、微かに匂ったのはこの香りではなかかったか……?
「私、急いでるの、あなたとこんなところで―――っ!?」
化粧ポーチをひったくる麗華の手が滑って、口紅のようなものが零れ出た。カラン、と乾いた音がして床に落ちると、奈央はそれを見て凍りついた。
麗華は自分が編集した記事のことを話題に出されると、急に上機嫌になって奈央に向き直った。
「職業柄っていうんでしょうか、お料理の雑誌はなんでも読んでみたいんです、だからこの前買った雑誌を見てちょっとびっくりしたことがあって……」
「びっくりしたこと……?」
「麗華さんに会ったら、ちょっと聞きたいって思ってたんです。あの、ヴェルテのメニューって、全部うちのものに似てませんか?」
奈央が言葉を濁さずにはっきり言うと、麗華の余裕の笑みはすっかり消え、徐々に険しいものになっていった。
「あなた、人にものを言う時には気をつけなさいよ? 一体何が言いたいのかしら?」
微かな動揺を誤魔化すように、麗華は化粧ポーチから香水を取り出すと、首元に吹きかけた。
その時、噎せるようなその匂いが奈央の記憶を揺さぶった。
(この匂い……!)
―――先程、生田が厨房に戻ってきた時、微かに匂ったのはこの香りではなかかったか……?
「私、急いでるの、あなたとこんなところで―――っ!?」
化粧ポーチをひったくる麗華の手が滑って、口紅のようなものが零れ出た。カラン、と乾いた音がして床に落ちると、奈央はそれを見て凍りついた。