恋のレシピの作り方
「あの人、今でも司のこと恨んでるわ……コンテストに負けたからって逆恨みもいいとこ、レシピを盗むように仕向けさせたのも清家よ」


「そんな……どうしてそんな言葉に従ったんですか?」



「……」

 かきあげた髪がパサっと落ちた。髪の束の隙間から、真っ赤な唇を噛んで苦渋にも似た切なげな面持ちが覗いた。


「司が……司が、私に振り向いてくれないからよ! 何もかも……司が私をわかってくれないからいけないのよ! だから……私も清家を利用した」


「な……!」


「ふふ……あなたのところのかわいい部下の子、あなたに気があるって知ってた?」


 そう言われて奈央の脳裏に浮かんだのは生田の姿だった。うぬぼれているわけではなかったが、奈央はなんとなく生田の視線には気づいていた。
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