恋のレシピの作り方
「奈央!? おい! しっかりしろ!」
遠のいていきそうな意識の中、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。震える瞼をうっすら明けると、今まで見たこともないような狼狽えた一条の顔が覗き込んでいた。
(一条さんも……こんな不安そうな顔するんだ)
そう思うとおかしくてつい笑ってしまいそうになるが、自分の顔が果たして笑えているかどうかさえわからなかった。
「羽村! 早く……! 救急車呼べ!」
―――意識が持たない。
次第に霞んでいく視界に奈央は、意識の糸が切れそうだと感じると、力の残滓を振り絞て震える手でMOを差し出した。
「一条さん……これ」
「え……?」
一条がそのMOを手に取ると、それが自分のものだとわかり、前方で呆然と佇んでいる麗華を見やると、ここで起こっていた全てのことを把握した。
「馬鹿っ……! お前は……大馬鹿だ」
一条の顔がくしゃりと歪んだのを見たのが最後だった。
奈央は抱きかかえられているのが心地よくて、そのまま意識を手放した―――。
遠のいていきそうな意識の中、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。震える瞼をうっすら明けると、今まで見たこともないような狼狽えた一条の顔が覗き込んでいた。
(一条さんも……こんな不安そうな顔するんだ)
そう思うとおかしくてつい笑ってしまいそうになるが、自分の顔が果たして笑えているかどうかさえわからなかった。
「羽村! 早く……! 救急車呼べ!」
―――意識が持たない。
次第に霞んでいく視界に奈央は、意識の糸が切れそうだと感じると、力の残滓を振り絞て震える手でMOを差し出した。
「一条さん……これ」
「え……?」
一条がそのMOを手に取ると、それが自分のものだとわかり、前方で呆然と佇んでいる麗華を見やると、ここで起こっていた全てのことを把握した。
「馬鹿っ……! お前は……大馬鹿だ」
一条の顔がくしゃりと歪んだのを見たのが最後だった。
奈央は抱きかかえられているのが心地よくて、そのまま意識を手放した―――。