恋のレシピの作り方
「すみませーん、間宮婦人のスープまだ出ませんかぁ?」

 ホールから戻ってきたウェイターがカウンターから身を乗り出して、圧力をかけるように急かした。奈央は益々居た堪れなくなって、ただ俯いてしまうしかなかった。

「すみませーん! 間宮婦人おまち……なんですけ―――」

「空気の読めないいけない子は……少々お仕置きしてあげなきゃなりませんね、あなたの舌ぶち切って、ステーキにしていいですか?」

「………」

 にこやかに笑う羽村が今の厨房の中で一番恐ろしく思えた。
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