恋のレシピの作り方
「お前、シェフコートまだ着てこんなとこにいたのか」

 その時、一番会いたくない相手、だけど会わなければならない相手の声を背後に聞いて奈央は涙を拭うことさえ忘れて振り向いた。

「い、一条……さん?」

 涙で視界がぼやけて誰だかわからない。けれど、紛れもなく自分の前に立っているのは一条司、その人だった。
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