恋のレシピの作り方
(私は、勝利に導くヴァルキュリアになるの、キッチンに戦死者なんか出さない)

 奈央は何もかもかなぐり捨てるように、一条の胸元を握りしめてもう一度声を殺して泣いた。

「馬鹿だなお前……無理しやがって」

 ぐちゃぐちゃと一条が奈央の頭をかき回すように、時に撫で下ろすように、奈央はその優しさに今は身を委ねた―――。
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