恋のレシピの作り方
「じゃあさ、またこうやって食事しない? 奈央が忙しくなければでいいんだけどさ」


 男が人妻に微かな憧れを抱くように、女も人の夫に小さな期待を抱く時がある―――。

 それは人のものだと思うと、無性に欲しくなる心理に似ているかもしれない。


(わ、私! 何考えてるの?! そう! 桐野君は友達として、誘ってくれてるんだから)

 一瞬でも、不埒な事を考えそうになった自分を小さく首を振ってかき消した。


「うん、最近忙しいんだけど、時間があったらまた……」

 
―――また……? 本当にいいのだろうか?


「本当? よかった、またじゃあ次回楽しみにしてるよ」
< 94 / 457 >

この作品をシェア

pagetop