ハチミツ
少しして菜奈は正気に戻り、
勢い良くあたしの肩を掴んだ。
「えっ!!なになに?!」
あたしがあたふたしていると
菜奈が驚きを隠せないような
顔で言葉を発した。
「岩倉雪哉って………あんたそれ
うちの学校の王子じゃない?!」
「へっ?」
あたしは首を傾げた。
「あんたまさか知らないの?!
うちの学校の3年のサッカー部の
岩倉雪哉先輩じゃない!」
“あの王子って言われてる!”
っと付けたし菜奈は話すのを止めた。
「せん…………ぱい?」
あたしはポケ~…っと目を
ぱちくりさせる。
「まあ絵里が知らないのも無理ないか。
あんた男に興味持たないからね」
菜奈はそう言うと、ふぅ…っとため息を吐いた。