ハチミツ
「でも王子って女の子にいくら
告白されても全部必ず断るらしいよ」
菜奈は暑そうに下敷きで扇ぎながら話す。
「そうなの?!」
ガッカリ……。ガビーン。
叶いっこないじゃんか……。
まあ雪哉先輩みたいな王子なんて
言われている人があたしみたいな
地味子を相手になんかしないか。
「いーなぁ。菜奈は美人で。
あたしも菜奈ぐらい美人だったら
雪哉先輩に堂々と告白出来たのに」
ため息をつき、菜奈を見ると
菜奈は、あたしよりも大きな
ため息をついた。
「あんたに言われても説得力ないし」
「ガビーン…………。」
あまりのショックな衝撃の強い言葉に感情が言葉になって出てきてしまった。
「確かにあたしみたいなブスに
言われても嬉しくないかもだけど…
そこまで言わなくても…」
あたしはしょぼくれながら言うと
菜奈は、また深々とため息をつき
次は一言“鈍い”とだけ言った。