sweetly
♯1 始まり。




"…どーしたの??

ほら、笑って?"



 ピピピピッ―――――……カチッ…

「…10時か…。」

朝が弱いあたし。
低血圧で鈍い頭を起こして、隣を見る。

一人分あいた隣の冷たくなった布団に手を触れる。

「…めずらし。」


ベッドから降りてベランダに出た。
煙草に火を付けたところで、洗濯バサミに付いてる紙を見つけた。



 "おはよう、ぼくのお姫様。

 今日の朝ごはんはメロンパンです。
 一緒に食べられなくて残念です。

 行ってきます!"


自分の口元が少し緩むのに気付いたけど、ごまかして煙を吐く。


夏の匂いが香る空を眺めながら、今日見た夢を思い出す…


 いつからだろう…
 
 いつからあたしは…。


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