sweetly
「千代子さんっ!」
息を切らしながら走ってくる彼。
私はまたも完璧な営業スマイルで振り返った。
「どうしました?藤堂さん。」
息を整えながら、爽やかな笑顔を振り撒く彼は
「今夜一緒に食事でもしませんか?」
と一言。
私は笑顔を崩さずに
「プライベートでのお誘いはお断りします。」
そう言って、まだ何か言おうとする彼を振り返らずに 外へ出た。
「部長、お待たせしました。」
外で待っていてくれた部長に声を掛ける。
「あんた、もう帰っていいわよ。昨日も遅かったんでしょ?」
「では、お言葉に甘えて失礼します。お疲れ様でした。」
部長と別れて家路へ急ぐ。
あ、晩ごはんどーしよ…